アスクルの代理店になる策が功を奏し、新規開拓は順調だった。
しかし、文房具店だった頃とは桁違いの顧客数になったことにより、新たな問題が発生した。 それは、売上の2%を占めていたという不良債権率の高さである。

この不良債権率が示すように、当時の山崎文栄堂は顧客管理ができているとは言いがたく、顧客への請求書がロッカーに置き去りになっていることもあり社内は混乱状態。後から聞いたところによると15人いた従業員全員が辞めようと思っていたという。

このまま顧客数が増えれば、現場はなおさら混乱する。そこで、この頃から経営にITを取り入れ始めた。

まず行ったのは代金回収履歴のデータベース化である。懸念となっていた代金回収率を高めるため、代金回収状況を可視化させて、多いときは売上の2%を占めていた不良債権率は0.05%まで激減した。

顧客情報の管理が徹底された低リスクの経営体制になった山崎文栄堂。
しかし、やがて通販が当たり前となり、「明日届く」だけでは競合他社との差別化が図れず価格勝負となることが増え、経営的には次の試練を迎えた。

差別化のために山崎氏がとった戦略は、顧客にこだわることによる差別化である。山崎氏は、まずお客様のニーズをよく聞くところから始めた。すると、本当に求められているのは単に低価格なものではなく、お客様それぞれに合わせた「提案」だったのである。

これは、それまで行っていた薄利多売型の通販とは真逆のものであった。Face to Faceの販売をやめて通販に切り替えたが、時代は変わり、またお客様はFace to Faceの提案を求めていた。

すぐさま山崎氏は提案型の企業となるべく舵を切った。

ここでも経営戦略にITが重要な役割を担うことになる。それまでは新規開拓を行うためのITツールが中心だったが、お客様のニーズをより深く知るためのITツールが必要になった。その頃導入されたツールのひとつが「サイボウズ Office」と「サイボウズ デヂエ」である。

「サイボウズ Office」は従業員のスケジュール管理に加え、お客様の情報を素早く共有するために活用された。 「古紙配合率偽装問題」が世間を賑わせた際には、「サイボウズ Office」の掲示板で対応策をすばやく全従業員に周知したことにより、クレームどころかお礼の声をいただいたという。

 サイボウズ Office導入事例

またお客様からのクレームを「サイボウズ デヂエ」に蓄積し全社員に共有することでクレームへの対応スピードを劇的に向上させた。

 サイボウズ デヂエ 導入事例

このように、早くからITを経営に取り入れ、効果を生んでいる山崎文栄堂であるが、決して莫大なIT投資をしているわけではない。中小企業が少ないITで効果を生み出す秘訣は「とにかく"徹底"すること」だという。