山崎文栄堂のオフィスを訪問すると、手作りのウェルカムボードと従業員全員の明るい挨拶に迎えられる。オフィスは活気に満ちあふれており、9年前、全従業員が退社を考えていたことが嘘のようである。この秘訣もやはり"徹底すること"だそう。

「従業員の不満の7割は不公平感なのです。 いくら私が頑張ってもあの人はサボっている。そういう感情がストレスにつながり、不満が溜まっていくのです。そこで全てのことにルールを作り、そのルールを守ることを徹底しました。」(山崎氏)

山崎文栄堂では年1回ルールブックが配られる。
そのルールブックには、経営方針から掃除の仕方に至るまで事細かに記載されており、全てがスケジュール化されているという。

そして「やると決めたら徹底的にやる」という山崎氏の言葉通り、その徹底ぶりは中途半端なものではない。

例えばルールブックで指定された掃除が徹底されているか、予定された日時に山崎氏がチェックを行い、できていない場合は担当のチーム全体が減点される。また「サイボウズ Office」のスケジュールがきちんと登録されているかもチェックされ、チーム内で1人でも登録されていないと減点となる。 そしてそれらの減点は賞与に反映され、なんと最大で評価の3分の1を占めるという。

「初めは言われたから仕方なくやる、でも良いのです。
それが続けば習慣となります。それはITツールについても同様で、全員が使わないのであればやらない方がまし。だから、難しいITツールは導入しません。全員が使える簡単なものを徹底的に使うのです。
また、いくつも同時にやらないことも大切です。ひとつが徹底できていないうちは、次のツールは使いません。」(山崎氏)

ITツール導入による効果としてもっとも大きな効果は、情報共有。
このように「ひとつひとつ着実にルールを徹底的に守る」という姿勢を続けることで、不公平感をなくし、お互いの仕事を知るといった情報共有の効果を最大限に発揮するとともに、活気あるオフィスを実現しているのである。

「全てをルール化し守らなければ罰金」という考え方は、やり方によっては社内がギスギスしてしまいかねないように思えるが、山崎文栄堂のルールは全従業員がストレスなく働けるよう、考慮されている。

「山崎文栄堂では遅刻しても小言を言われることは一切ありません。その代わり、罰金 3,000円を払います。そして集まった罰金は忘年会でじゃんけん大会があり、誰かひとりに当たることになっています。」

このルールによって、他の従業員は忘年会の抽選で当たるかもしれない賞金の額が増えたことを喜び、上司は小言を言うストレスもなく、遅刻をした側も罰金さえ払えば怒られることもない。全ての従業員の不満が解消するようにできているのである。